「アフタヌーンティー」と「ハイティー」はどちらも伝統的な英国の飲み物を楽しむ時間ですが、これらには一体どのような違いがあるのでしょうか?
見た目は似ていると感じるかもしれませんが、その起源や背景を知ることで、この二つの違いが明確になります。
ここではアフタヌーンティーとハイティーの違い、それぞれの起源と歴史に焦点を当てて解説していきたいと思います。
アフタヌーンティーとハイティーの主な違い
アフタヌーンティーとハイティー、どちらもお茶の時間ですが、実は全然違います。
簡単に説明すると、「アフタヌーンティー」は軽めの食事として紅茶とともにサンドウィッチやスコーン、ケーキなどを楽しむものです。
一方で、「ハイティー」は「ミートティー」とも呼ばれ、肉料理を含むより充実した夕食として提供されることが多いです。
さらに詳しく見てみると、アフタヌーンティーとハイティーは提供される時間、食事の内容、そしてその起源においても異なります。
以下に、それぞれの特徴を詳しく比較してみましょう。
アフタヌーンティー | ハイティー | |
時間 | 午後4時頃から | 午後6時頃から |
目的 | 軽食 | 夕食 |
テーブルの高さ | 低いテーブル | 高いテーブル |
起源 | 上流階級の風習 | 労働者階級の風習 |
・目的::「アフタヌーンティー」は軽食、「ハイティー」は夕食としての役割
・テーブルの高さ:「アフタヌーンティー」は低いテーブルで、「ハイティー」は高いテーブルで行われる
・起源:「アフタヌーンティー」は上流階級の風習、「ハイティー」は労働者階級の風習です
これらのティータイムの違いを背景に持つ歴史を深堀りすることで、両者の特徴をより深く理解できるでしょう。
次に、それぞれの起源についてさらに詳しく見ていきましょう。
アフタヌーンティーの発祥とその進化
「アフタヌーンティー」は、ヴィクトリア朝のイギリスにおいて、上流階級の間で広まった社交の儀式です。
その時代には、貴族たちの間で一日に2食が普通で、遅い朝食が午前10時頃、夕食が夜の早い時間に設定されることが一般的でした。
しかし、電気の普及や照明の進歩により、夜間の活動が活発化し、演劇や音楽会の後のディナーが遅くなることが一般的になったのです。
これによりディナーが夜遅く、時には10時や11時になることもあり、空腹の時間が長くなっていました。
このような生活スタイルの変化に対応するため、上流階級の女性たちは午後4時頃に紅茶と軽食をとるようになり、この習慣はやがて友人を招いての社交の場として広がっていったのです。
この風習を広めたのは、ヴィクトリア女王の側近である第7代ベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアとされています。
ヴィクトリア女王もこの新たな茶会に参加し、やがてアフタヌーンティーは上流階級の公式な社交イベントとしての地位を確立。
アフタヌーンティーは「適切に淹れられたお茶」「多様で豪華な料理」「洗練されたテーブルセッティング」といった基準が求められるようになったのです。
これらの基準は今日のホテルでのアフタヌーンティーサービスにも受け継がれ、多くの人々に愛される豪華な体験として提供されています。
ハイティーの歴史とその起源
「ハイティー」は、スコットランドの労働者階級の間で生まれた風習です。
元々、紅茶は高価なものであり、主に富裕層が消費していました。
ですが、ヴィクトリア時代の産業革命中に、茶税が削減され、茶葉の生産量が増加した結果、紅茶の価格が手頃に。
これにより広く紅茶が普及し、労働者階級でも楽しむことができるようになったのです。
特に夕食時に紅茶を楽しむ習慣が定着し、その際には肉料理を含む豪華な食事を摂ることが一般的に。
このため、この食事と紅茶の組み合わせが「ハイティー」と呼ばれるようになりました。
ハイティーという名前の由来には複数の説がありますが、
・高カロリーな食事から「ハイ」とされた
・アフタヌーンティーがローテーブルで行われるのに対し、ハイティーは通常のダイニングテーブルで行われること、または使用される高背の椅子(ハイバックチェア)から来ている
と言われています。
ですが、これについては確固たる証拠はありません。
ハイティーはアフタヌーンティーと異なり、日常生活の一部として捉えられており、厳格なマナーが求められるわけではありません。
使用されるティーカップも、高価な磁器ではなく、より手頃な価格の陶器が使われることが一般的です。
ハイティーの現代的な役割と国際的な広がり
現代のイギリスでは、ハイティーは観劇や他のイベントの前に楽しむ軽い夕食の時間を指します。
一方、日本では高級ホテルで提供されるハイティーが伝統的なイギリスのものと異なる新しい形をとっています。
この新しい形式は、シンガポールのハイティーの影響を受けており、ビュッフェスタイルで提供される飲茶やアジア料理が特徴です。
この形式では、紅茶とともに軽食やスイーツが楽しめる点はアフタヌーンティーと似ていますが、食事の豊富さは伝統的なイギリスのハイティーの特徴を引き継いでいます。
この名称が現代でも用いられ続けている理由は、ボリュームのある食事という元来の特徴が影響しています。
地域や時代が変わっても、この点が名前を支持する理由となっています。
まとめ:アフタヌーンティーとハイティーの違い
今回は、「アフタヌーンティー」と「ハイティー」の違いや、それぞれの文化的背景についてご紹介しました。
どちらも長い歴史を持ち、多くの人々に愛され続けている伝統的な飲食文化です。
多くの地域で愛され続け、新しい食材や異文化の要素が取り入れられながら、さらなる多様な形で展開されるのではないでしょうか?
これからの展開も楽しみですね!